映画ショコラのようなカカオ豆から作るホットチョコレート

映画ショコラのようなマヤ文明のレシピでカカオ豆から作るホットチョコレートの作り方
映画の「ショコラ」をあらためて見るタイミングがありました。
昔はジョニーデップ目当てで見たのですが、ジョニーデップがほとんど出てないのにガッカリしてよく観賞していませんでした。
でも2回目に見たときに、人気俳優に釣られることのない、偏見のない目線で見ると、とてもいい映画だと今更気がついて、同時に無性にチョコレートが作りたくなったので、カカオ豆から手作りでチョコレートを作る事にしました。
一から作るとなるとチョコレートの歴史や材料の購入場所、作り方を調べるのにかなり時間がかかりました。
ちなみに情報の提供元や材料の販売先は一番最後にリンクをさせていただいております!
最初に言っておかないといけませんが、今回作るのは「ホットチョコレート」でして普段目にする「チョコレート」ではありません。
何故かというと、テーマとして「手作り」にこだわりたいからです。
通常チョコレートを作るのには、カカオ豆を潰して練った「カカオマス」とは別に、カカオマスから脂分だけを搾り出した「カカオバター」を使うからです。
カカオ豆には半分近く脂分があり、それだけを絞り出したカカオバター(ココアバター)が必要なのです。
つまり、チョコレートを作るのには、すでに脂分を含んでいるカカオ豆を潰したカカオマスに、さらに別のカカオ豆から搾り出した脂分のカカオバターを追加するのです。
そしてカカオバターを絞り出すのはプレス機がないと出来そうもなかったので、あきらめて古典的な製法のホットチョコレートにしました。
ちなみにカカオバターを搾り出した残りカスが「ココア」に使われます。
だからカカオ豆だけでチョコレートドリンクを飲んでいるだけだったら、ココアは生まれなかったのです。
そんな経緯もあり、今回はホットチョコレートに専念します!
チョコレートを作る上で知っておきたいのはやはりその歴史です。
ショコラでも「2000年前のマヤのレシピで作ったホットチョコレートよ!」というセリフが印象的でしたが、そのセリフからも分かるように、今のメキシコ、マヤ族が作り出した物だったのです。
出来ればその歴史を感じれるように、道具にもこだわって作ろうと思いました。
映画ショコラのようなマヤ文明のレシピでカカオ豆から作るホットチョコレートの作り方まずはカカオ豆の説明ですが、カカオの実の種を発酵させたのがそれです。
画像にもある白いモロコシみたいな玉の中に生のカカオの種があります。
ちなみにカカオの実はフルーツとして美味しいそうです。
それでは作り方です。

■カカオ豆のロースト
本来なら120度のオーブンで20分ほどローストすればいいのですが、出来れば昔ながらの方法でやってみたいので、石の器で直火で煎る事にしました。
使用するカカオ豆の量は250gです。
250gで濃いめのホットチョコレートがおおよそ3~4杯とれます。
石があったまったら、中火で焦げ付かないようにずっとかき混ぜます。
15分から20分煎ると、皮が弾ける「パァン」と音がしてきます。
黒くならないうちに火を止めます。
ロースとしすぎると酸味がきつくなるのでほどほどにしてください。
そういえば最初少し驚いたのですが、ローストする前の発酵したカカオ豆は赤ワインのような香りがします。

■カカオ豆の皮をむく
少しだけ色が焦げ茶に変化した豆を冷まして、一つづつむいていきます。
ローストすると皮と種の間に隙間が出来るので、指で押すとパリッと割れて簡単にむけます。
皮に隙間がない豆は、枝豆を押し出すような感覚で潰すとうまくむけます。
あまり強く握ると簡単に中身まで粉々になってしまうので注意が必要です。
感じとしては落花生の皮むきに近いです。
薄皮もあるので、取れるだけ取ります。
ローストした豆と生の豆では色艶が若干が違います。
最初はツヤが無くて黒っぽいのですが、ローストすると油分のツヤが出てきて赤黒くなります。
このまま食べてもお酒のつまみとしては美味しいようです。
食べてみるとイメージそのままで、酸っぱ苦い豆です。
不味くはないですし、少しクセになりそうな感じです。
基本的にロースとしたカカオ豆が売られてる場合はそのまま食べる用らしいです。

■カカオ豆をすり潰す
メキシコや中南米では「メタテ」と呼ばれる日本の石臼的な役割の道具があります。
まさしく石器の形状で、今も変わらず家庭に残っているようです。
ショコラでもメタテを使って豆を潰しているシーンがありました。
さすがにメタテは手に入らなかったので、石の器で豆を細かく砕いて、すり鉢でペーストにしました。
手作業は無茶苦茶時間がかかります。
粉々につぶすとここではじめてビターチョコレートの香りがしました。
フードプロセッサーでやれば一瞬ですが、これも当時の様子を感じる美味しさのエッセンスの一つです。
石の器で細かくしたあとに、すり鉢ですりまくると脂がにじんでくるのが分かります。
僕はここで、すり易いようにちょっとだけ水を入れました。
ある程度ネットリしてきたら終了です。

■マヤ族のレシピに挑戦
ここまで出来たら完成間近ですが、当時のマヤ人がどういう味で飲んでいたのか気になったので、それに挑戦しました。
メインの大きな画像がその写真です。
当時は今のような甘いチョコレートではなく、カカオ豆を貴重な栄養ドリンクとして飲んでいたようです。
だから砂糖もミルクもバニラも入っていなく、カカオ豆を潰したカカオマスに水を混ぜて、スパイスやチリパウダーを混ぜて飲んでいたそうです。
試してみたら辛くて苦い泥を飲んでるような感じでした。
ヨーロッパ人が最初は受け入れなかったのがよくわかりました。
ショコラにもホットチョコレートに「チリパウダー」を入れるシーンがありましたが、このチリパウダーはスーパーに売ってるチリパウダーとは違います。
市販で売ってるのは、簡単にメキシコ料理風に味付けが出来るようにアメリカで作られた混合スパイス調味料です。
映画のチリパウダーやマヤ人のチリパウダーは単純に唐辛子をサラサラの粉末にしたものです。

■バニラミルクを作る
ホットチョコレートの仕上げに使う為に、あらかじめ牛乳にバニラビーンズを漬け込みます。
3センチ程にカットしたバニラビーンズのさやを開いて、中のツブツブが見えるようにして牛乳に漬けます。
しばらく置いておけばバニラのいい香りが付きます。

■ホットチョコレートの仕上げ
まず、ネットリしてきたカカオマスにバニラビーンズを漬けといた牛乳を加えます。
そのままではカカオの脂分が硬いままなので、湯煎で温めながらよく混ぜます。
トロトロしてきてよく混ざってきたら、目の細かいこし器でこします。
カカオ豆は非常に食物繊維と油分が多くて、カカオマスを作ってると思うのは「胡麻」に似てるなーって思いました。
ですのでカカオマスはゴマペーストのようにかなりザラついているので、ちゃんと濾さないと砂を飲んでるような感じになってしまいます。
最後に味を見ながら砂糖を加えて完成です。
僕は250gのカカオ豆に対してスティックシュガー6本入れました。
苦みが強いので多めに入れないと甘さは感じられません。
そして最初は濃いめのホットチョコを飲んでいたのですが、最終的にはミルクをチョコに対して2~3倍ぐらい入れて薄めて飲んで丁度よかったです。
だから結局は250gの豆で6杯ぐらいとれました。
マヤ族の間では、チョコレートドリンクは泡立たせることが非常に重要だったそうです。
そのために「モリニージョ」と呼ばれる泡立て機が作られた程です。
本来ならモリニージョをチョコレートに突っ込んで、火をおこす要領で両手でグリグリとかき混ぜるとイイ感じに泡が立つようです。
今ではメキシコの名物お土産になっています。
一手間加えて、泡立て機で泡立てて飲むのもいいかもしれませんね!

チョコレートは抗酸化作用のあるポリフェノールがたっぷりなので、昔も今も健康ドリンクとして飲まれているようです。
また、メキシコでは肉料理にチョコレートソースを使うこともあります。
甘いチョコレートではなくて、カカオマスに赤ワインを入れて作る濃厚なソースです。
美味しそう・・・
映画のショコラでもバースデイパーティーのシーンで登場していましたね!
赤ワインとチョコレートですから、2大ポリフェノール食材で作るソースは肉料理に欠かせないのでしょう。

■情報提供のリンク元
チョコレートの歴史「大好きチョコレート」
カカオの実の画像「ふぇあうぃんず」
メタテの画像「メキシカンラグ 玉美」
モリニージョの画像「知られざるメキシコの旅」

■カカオ豆の購入先
バニラプランテーション(今回使ったカカオ豆)

ワインマーケットパーティー(ローストカカオ豆のみ)
Dari-K(京都の有名チョコレートショップでローストカカオ豆は入荷次第売切れ必至)

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